2020埼玉県新商品AWARD 「金賞」受賞
ロクロ挽きによるツヤと手打ちされた「つちめ」がキラリと光る片口とぐい呑、親子のような相似形のセット。
「こなから」は本来半分の「半(なから)」のそのまた半分で「小半」、つまり1升の半分の半分=2合半(約450ml)という量を意味します。
しかし「
こなから酒」と言う場合には、
ほんの少しだけのお酒を指します。
こちらの酒器セットは後者、
小さめの片口(100ml)とそれに見合った
ぐい呑(30ml)で、今日一日も終わりかけ、ほんの少しだけでいいんだよなという時に、ちょっとひと息。
小粋なひとときを演出します。
金工の中でも珍しい
ロクロ挽きという製法で、手仕事で一点一点丁寧に仕上げています。
そのため大量生産は出来ません。
ロクロ挽きで製作されたものは、錫の表面がツヤよく仕上がっているのが一つの特徴であり、回転体の造形になります。
こうして出来たざらつかない滑らかな光沢は、柔らく優しく何とも言えない魅力があります。
先代が工房を設立するとき、純粋に錫の光沢に魅せられて屋号を「
錫光」と定めたほどです。
元々錆止めに利用される錫ですが、ツヤのあるものは、ざらつきのあるものに比べて、汚れが溜まりにくいこともあり、変色しにくく長く安心してお使い頂けます。
このように錫という素材とそれをロクロ挽きでお作りするということは、ご使用になる上で安心して長く使える組み合わせであるということが、錫光がロクロ挽きにこだわる理由の一つになっています。
もう一つ上げられるのは、メンテナンス性が良好ということがあります。
古より伝わる手仕事のものの多くは、少し傷めば直してまた使う習慣がありました。
ロクロ挽きの錫器も同様です。
クリーニングやメンテナンスをしながら、10年20年…とお使い頂く事でやがて味わい深い光沢や景色で愛着がさらに増して行くでしょう。
使い捨ての時代は短かった、これからは資源を大切にするという観点からも、一つのものを大切に長く愛用するという時代に回帰していくでしょう。
お手入れは弊工房にお申し付けください。
十数年程度のものでしたら新品の様に蘇ります。
そして最終的には、やや小振りにはなるものの、別のものに作り替えることも可能なのです。
ところで、意外と誤解されていることとして、錫は熱伝導性が良いので…、という言い方があります。
確かに、金属なので熱伝導性はそれなりに悪くはありません。
しかし実際は金銀銅やアルミと比較すると数値的には大分下回っています。
実は銀や銅の6分の1程度の熱伝導性なのです。
逆に言えば、素材そのものの保温性保冷性が銀や銅に比べて良いということになります。
実はこの辺りに、錫が燗酒器として重宝されたり、冷たいものを召し上がる器として親しまれたりしてきた理由があるのでではないでしょうか。
例えば、錫で燗をつけるとおいしくできるとか、錫で飲むと冷たさが増す、最後まで冷たいままというのは、巷でよく耳にすることですね。